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常時録画で消耗する前提で選ぶ高耐久microSDカードの選び方

対象の目安: 防犯カメラやドライブレコーダーを運用する人 / 入門

アオイ防御・運用担当
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常時録画で消耗する前提で選ぶ高耐久microSDカードの選び方

事故の直後にドライブレコーダーのカードを抜いてパソコンに挿し、肝心の数分が残っていないことに気づきます。あるいは防犯カメラの映像を遡ろうとして、録画機がカードのフォーマットを要求してきます。どちらも記録メディアが先に力尽きていた場合に起きる出来事です。カメラ本体は動いていて、録画中の表示も出ていました。足りなかったのは、その裏で上書きを繰り返しているmicroSDカードの書き換え耐性です。

この記事は、防犯カメラやドライブレコーダーを運用する人に向けて、高耐久をうたうmicroSDカードの選び方を整理します。消耗が進む仕組み、メーカーが公表する耐久指標の読み方、SDアソシエーションの表示が何を保証しているのか、そして記録メディアが証拠になるという前提での盗難と廃棄への備えまでを扱います。なお本記事はアフィリエイトリンクを含みます。紹介する製品の効果や適合性を保証するものではなく、購入判断はご自身の用途と機器に照らしてお願いします。詳細は広告およびアフィリエイトについてをご覧ください。

用途ごとに書き込み量の桁が変わるため、まず自分がどの行にあたるかを確かめます。書き込み量は「ビットレート(Mbps) x 稼働時間(h) x 0.45 = GB」で概算できます。1Mbpsを1時間書き続けると450,000,000バイト、およそ0.45GBになるためです。

用途想定するビットレートと稼働1年の書き込み量の概算主に効く指標つまずきやすい点
ドライブレコーダー(前方1カメラ)10Mbpsで1日2時間約3.3TB書き換え耐性、耐熱車内の高温と電源断
ドライブレコーダー(前後2カメラと駐車監視)20Mbpsで1日8時間約26.3TB書き換え耐性、容量駐車監視で常時録画に近づく
防犯カメラ(1台の常時録画)4Mbpsで24時間約15.8TB書き換え耐性、保存日数録画機側の容量上限
防犯カメラ(高解像度の常時録画)8Mbpsで24時間約31.5TB書き換え耐性、速度クラスビットレートが変動する
業務用途(証拠性を求める記録)用途による用途による公表された耐久指標、保証指標を公表しない製品が多い

この表の書き込み量はホストが書こうとした量です。カードの内部ではこれより多く書かれます。理由は次の節で見ます。

上書き録画がmicroSDカードを消耗させる仕組み

NANDフラッシュは、書いてある場所に上から書き直せません。いったん消去した領域にしか書き込めず、しかも消去はページ単位ではなくブロック単位で行われます。Axis Communicationsのホワイトペーパー「Surveillance cards for edge storage」は、カードが埋まってくるとコントローラがデータを移動させ、新しい情報のためにブロックごと消去する必要があると説明し、この書き込みと消去の繰り返しをP/Eサイクル(program/erase)と呼んでいます。同社は、1回のサイクルがセルにわずかな物理的損傷を与え、時間とともにエラーにつながり、最終的にブロックが使えなくなると述べています。

常時録画はこのサイクルを最も速く積み上げる使い方です。ドライブレコーダーは容量が埋まると古いファイルから順に上書きしていくため、カードの全域が定期的に書き換わります。防犯カメラの常時録画も同じです。撮った映像を保存したまま放置する使い方と違い、記録メディアの全容量が繰り返し塗り替えられます。

ここで効いてくるのが書き込み増幅(write amplification factor、WAF)です。同ホワイトペーパーはWAFを、記憶媒体に実際に書かれたデータ量と、ホストが書こうとしたデータ量の比と定義しています。理想は1に近い値ですが、実際にはガベージコレクション、ウェアレベリング、オーバープロビジョニングといった内部処理のため1より大きくなると説明されています。書き直しのたびにデータが複数回移動し、新しいデータの量よりはるかに大きな領域が消去されて書き直されるためです。つまりホストが1TB書いたつもりでも、カードの中では1TBより多く書かれています。WAFが高いほどセルの摩耗が加速し、安定して動作できる期間が短くなります。

ウェアレベリングは、この摩耗を特定のブロックに集中させないための機構です。同じ論理アドレスへの書き込みでも、コントローラは物理的な書き込み先を分散させます。効果はありますが、消耗の総量を減らすわけではありません。全域を均等に減らしていく仕組みだと理解しておくと、容量の大きいカードのほうが同じ書き込み量に対して長持ちする理由も見えてきます。Axisは、記憶容量の大きいカードを選ぶことで書き換え回数の少なさを補えるとし、空き領域が大きいほど1サイクルあたりの時間が延びてカードの寿命が延びると説明しています。

Axisのホワイトペーパーは、書き込み増幅を「記憶媒体に書かれたデータ量とホストが意図したデータ量の比」と定義し、ガベージコレクション、ウェアレベリング、オーバープロビジョニングにより実際のWAFは1より大きくなると述べています。また、1セルあたりのビット数が多いカードほど耐えられるP/Eサイクルは少なくなるとしています。

録画は本来、連続した領域へ順に書いていくシーケンシャル書き込みが中心の用途です。この点では消耗の面で有利ですが、ファイルの削除と書き込みを繰り返すうちに状況が変わります。SDアソシエーションは、ファイルの削除と書き込みを繰り返すとデータ領域が徐々に断片化して書き込み速度に影響し、断片化した領域への書き込みはフラッシュメモリの特性上シーケンシャル書き込みより遅くなると説明しています。同団体は、空き容量が残っていてもホストがスピードクラスの記録を行えない場合があるとし、そのときは断片化した領域を減らすためのデータの整理か、別の記憶装置へデータを移したうえでのカードの再フォーマットが必要になると述べています。定期的なフォーマットが効く理由の一つがここにあります。

セルの種別と書き換え耐性の関係

カードの中のNANDが1セルに何ビット詰めているかで、耐えられるP/Eサイクル数が変わります。Axisのホワイトペーパーが示す目安は次のとおりです。

セル種別1セルあたりのビット数P/Eサイクルの目安(Axisの記載)位置づけ
SLC1ビット約100,000回最高の性能と耐久だが容量あたりの価格が高い
MLC2ビット約10,000回容量を確保しやすいがデータエラーに弱くなる
TLC3ビット約3,000回価格と容量の均衡がよく広く使われる
QLC4ビット約1,000回容量は最大だがデータエラーに最も弱い

pSLCは別のセル構造ではありません。TLCやMLCのセルを、本来の多値ではなく1ビットだけ記録するモードで使い、SLCに近い書き換え耐性を得る使い方です。JVCケンウッドは自社のドライブレコーダー向け解説で、SLCタイプはTLCやMLCタイプより書き換えに強く耐久性に優れるとしたうえで、pSLCタイプについて書き込み回数や記録保持に対する信頼性がTLCやMLCより高く(SLCより若干劣る)、価格はMLCより少し高い程度だと説明しています。同社はpSLCのmicroSDカードとしてKNA-SD8A、KNA-SD16A、KNA-SD32Aを挙げており、容量は8GBから32GBです。耐久を優先すると容量が小さくなるという関係が製品ラインにそのまま出ています。

ここで注意したいのは、セル種別だけで製品の良し悪しを決められないという点です。Axisは自社の監視用カードについて、TLCとQLCのNAND技術に基づいており、低いWAFによって完了するP/Eサイクル数を抑えていると明記しています。同社はそのうえで、128GBのカードを2MP、2.5Mb/sで使う条件のシミュレーションとして約10年という寿命を示し、256GBでは約20年としています。セルの耐久が低い区分でも、コントローラとファームウェアが内部書き込みを抑えれば、用途に必要な期間は満たせるという設計です。

Axisは自社の監視用カードについて、TLCとQLCのNAND技術に基づき、低いWAFによりP/Eサイクルの消費を抑えていると記載しています。シミュレーションに基づく寿命の目安として、128GBでは2MP/2.5Mb/sで約10年、8MP/4.5Mb/sで約5年、256GBではそれぞれ約20年と約11年を挙げています。

したがって、販売ページに「SLC」と書いてあるかどうかだけで判断するのは早計です。逆に、セル種別を書かずに「高耐久」とだけ書いてある製品も多く、その場合は次の節で扱う公表指標が唯一の手がかりになります。どちらも書かれていない製品は、耐久について確認できる材料がない製品だと考えるほかありません。

電源が突然切れたときに壊れるもの

車のエンジンを切るとドライブレコーダーの電源が落ちます。防犯カメラでも停電やPoEスイッチの再起動で同じことが起きます。書き込みの最中に電源が失われると、映像ファイルが途中で切れるだけでは済まないことがあります。ファイルシステムの管理情報が更新されないまま実データだけが書かれた状態になると、次の起動時に整合が取れず、機器がフォーマットを要求します。カード自体は健全なのに、中身が読めなくなるという壊れ方です。

Axisはこの問題への対処として、監視用カードにはext4というジャーナリングファイルシステムを推奨しています。同社は、ジャーナルという専用のデータ構造に変更を記録していく方式であり、システムのクラッシュや停電があっても復元が速く破損しにくいため、データを失う危険が減ると説明しています。そして、この特性はバスや列車に設置する機器のように電源が落ちることがある環境や、電力供給が安定しない地域で特に効いてくるとしています。カメラ側の設定にファイルシステムの選択肢がある場合は、この記述を判断材料にできます。

ドライブレコーダーでは、ユーザー側で選べる余地はほとんどありません。機器が用意した方式に従うことになります。そのぶん、電源が落ちるタイミングでの操作に気をつけます。JVCケンウッドは、カードを取り出すときはエンジンを切るか本体の電源ボタンを長押しして電源をオフにしてから行うよう案内し、接続端子に触れると静電気によってデータが破損してエラーの原因になる恐れがあるため、特に冬場は注意するよう述べています。録画中に抜き挿しする運用は、機器の想定外です。

注意

記録が消えて困る映像は、抜き取ったカードだけに存在する状態を作らないようにします。事故や不審者の映像は、気づいた時点でパソコンなど別の場所へコピーし、コピーが再生できることまで確認します。カードを取り出して持ち歩くこと自体が、紛失と静電気と物理破損の危険を増やします。

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メーカーが公表する耐久指標の読み方

高耐久をうたう製品でも、耐久を示す単位はメーカーごとに違います。実際に公表されている数値を並べると、その違いがはっきりします。

Samsungの2022年版データシート(PRO Endurance、Rev.1.0)は、耐久を録画時間で示しています。32GBが17,520時間、64GBが35,040時間、128GBが70,080時間、256GBが140,160時間です。脚注には、これがフルHD(1920x1080)の映像を26Mbps(3.25MB/s)で記録した場合に基づく数値であり、対応状況はホスト機器やファイル属性、使用条件によって変わると書かれています。速度クラスは32GBと64GBがClass 10とV10でスピードグレードがU1、128GBと256GBがClass 10とV30でU3です。保証期間は32GBが2年、64GBが3年、128GBと256GBが5年と、容量ごとに分かれています。

Western Digitalの製品資料(WD Purple SC QD101 Ultra Endurance microSD、2020年12月版)は、同じ耐久をTBW(terabytes written)で示しています。32GBが最大16TBW、64GBが32TBW、128GBが64TBW、256GBが128TBW、512GBが256TBW、1TBが512TBWです。脚注には、TBWの値はJEDECのクライアントワークロード(JESD219)を用いて算出しており、製品の容量によって変わると明記されています。保証は3年、ただし3年か最大耐久(TBW)の上限のどちらか早いほうまでとされています。速度クラスは全容量でSpeed Class 10とUHS Speed Class 1です。

公表の形式何を前提にしているか比較のしかた
録画時間(時間)Samsung PRO Endurance 128GBで70,080時間フルHDを26Mbpsで記録した場合自分のビットレートが違えば時間も変わる
TBW(書き込み総量)WD Purple SC QD101 128GBで最大64TBWJEDECのクライアントワークロード(JESD219)自分の年間書き込み量で割ると年数が出る
書き換え回数(P/Eサイクル)セル種別ごとの一般的な目安セル単体の特性製品全体の寿命とは直結しない
記載なし「高耐久」の文言のみ前提が示されていない確認できる材料がない

この二つを直接比べてはいけません。Samsungの128GBの数値を書き込み量に換算すると、70,080時間に3600秒と3.25MB/sを掛けて約820TBになります(本記事による換算)。同じ128GBでWestern Digitalが示すのは64TBWです。10倍以上の開きがありますが、前者は一定ビットレートでのシーケンシャル録画を想定した時間であり、後者はクライアント向けの混合ワークロード(JESD219)のもとで書き込める総量です。この差は製品の優劣を直接示すものではなく、まず前提の違いとして読みます。

実務では、自分の年間書き込み量をTBWと突き合わせるのが最も見通しがよくなります。前掲の表の概算を使うと、4Mbpsの防犯カメラを1台24時間録画する構成は年間約15.8TBです。128GBで64TBWの製品なら、単純計算で約4年ぶんに相当します。前後2カメラのドライブレコーダーで合計20Mbps、駐車監視を含めて1日8時間なら年間約26.3TBで、64TBWの製品では約2.4年です。ただしTBWはJEDECのワークロードのもとで測った値なので、書き込みのしかたや温度条件が資料の前提と違えば、結果はこの計算より長くも短くもなります。単純計算は目安として扱い、交換時期には余裕を見ます。

メモ

TBWも録画時間も、その値まで必ず動くという保証ではありません。Western Digitalの保証条件は3年か最大耐久のどちらか早いほうであり、公表値は設計上の目安として読みます。使用条件が資料の前提と違えば結果も変わります。

執筆時点で内容を確認できたWestern Digitalの製品資料は2020年12月版のQD101のものです。同系列には後継とみられるQD102の製品ページも公開されているため、購入するときは買おうとしている型番の資料で数値を確認してください。製品名が同じでも、容量によって速度クラスや保証年数が違う例はSamsungの表にも出ています。

高耐久microSDカード(64GBクラス、Class 10 / V10以上)

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高耐久microSDカード(64GBクラス、Class 10 / V10以上)

価格の目安: 2千円台から(執筆時点の目安)

前方1カメラのドライブレコーダーや、古い録画機で使う小容量の帯です。運転が1日1時間から2時間なら年間の書き込み量は数TB程度に収まるため、耐久指標を公表している製品であれば数年の運用が見込めます。容量を上げると1サイクルあたりの時間が延びて寿命の面で有利になるので、機器が対応するなら128GBを選ぶ判断もあります。購入前に、TBWまたは録画時間の記載があるか、その数値の前提(どんな書き込みを想定した値か)が書かれているか、使う機器が対応する容量の上限とファイル形式、保証期間が何年でどの条件までかを販売ページと機器の取扱説明書で確認してください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

SDアソシエーションの表示が保証していること

カードの表面に並ぶ記号は規格団体であるSDアソシエーションが定めたものです。何を保証しているのかを取り違えると、選定の判断を誤ります。

まず容量の区分です。SDアソシエーションは、SDが2GBまででファイルシステムはFAT12とFAT16、SDHCが2GBを超えて32GBまででFAT32、SDXCが32GBを超えて2TBまででexFAT、SDUCが2TBを超えて128TBまででexFATと定めています。防犯カメラやドライブレコーダーで「32GBまで対応」と書かれている機器は、SDHCまでの対応だと読めます。この場合、128GBのSDXCカードを挿しても認識しないか、機器側で扱えるファイルシステムに合わないことがあります。

次に速度クラスです。SDアソシエーションは、スピードクラス(Class 2、4、6、10)、UHSスピードクラス(U1、U3)、ビデオスピードクラス(V6、V10、V30、V60、V90)、SD Expressスピードクラス(E150、E300、E450、E600)を定めており、数字を伴う記号は最低書き込み速度を示すと説明しています。ビデオスピードクラスのホワイトペーパーは、V60とV90が60MB/sと90MB/sという新しい記録レートを追加したものだと述べており、V30が30MB/sの記録に対応することも同文書の例示から読み取れます。

バスモードの条件もあわせて見ます。SDアソシエーションは、C10はHigh Speedモード以上、U1とU3はSDR50かDDR50以上、V60とV90はUHS-IIモード以上で使う必要があると説明しています。カード側だけ上位の記号がついていても、機器がそのバスモードに対応していなければ表示どおりの速度は出ません。同団体は、ホストとカードで異なるクラス記号を組み合わせた場合、たとえ同じ10MB/sの書き込み速度を示す記号どうしであっても期待した書き込み速度は得られないと注意しています。

SDアソシエーションのSpeed Classのページは、スピードクラス、UHSスピードクラス、ビデオスピードクラス、SD Expressスピードクラスの記号が最低書き込み速度を示すこと、C10はHigh Speedモード以上、U1とU3はSDR50/DDR50以上、V60とV90はUHS-IIモード以上で使うことを説明しています。またホストとカードでクラス記号が異なる組み合わせでは、同じ10MB/秒を示す記号どうしでも期待した書き込み速度は得られないとしています。

もう一つ、A1やA2というアプリケーションパフォーマンスクラスの記号を見かけます。SDアソシエーションのホワイトペーパーは、SD 5.1物理仕様で導入されたA1を最も基本的な水準と位置づけ、ランダム読み出し1500 IOPS、ランダム書き込み500 IOPS、シーケンシャル10MB/sという最低値を示しています。同文書は、市場の要求に応じて上位の水準が追加されるとも記しています。これは携帯端末でアプリを動かす用途を想定した指標であり、映像を連続して書き続ける用途に直接効くものではありません。

表示意味するもの監視やドライブレコーダーでの読み方
SDHC / SDXC / SDUC容量区分と標準のファイルシステム機器が対応する区分を先に確認する
Class 10最低10MB/sの書き込み(High Speed以上)多くの機器の下限要件
U1 / U3UHSバスでの最低書き込み速度の区分(U1はClass 10やV10と同じ10MB/s)高ビットレートや多画素の機器で上位が要求されることがある
V6 / V10 / V30 / V60 / V90最低6/10/30/60/90MB/sの記録機器の要求記号と同じか上位を選ぶ
A1 / A2ランダムアクセス性能(IOPS)録画用途の選定基準にはならない
高耐久の文言規格の表示ではないメーカーの公表指標で裏を取る

整理すると、速度クラスは「コマ落ちせずに書けるか」の表示であり、「何年もちるか」の表示ではありません。実際、Western DigitalのWD Purple SC QD101は監視向けの高耐久製品でありながら、速度クラスは全容量でClass 10とU1です。耐久と速度は別の軸だという例になります。

高耐久microSDXCカード(128GBクラス、U3 / V30相当)

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高耐久microSDXCカード(128GBクラス、U3 / V30相当)

価格の目安: 3千円台から(執筆時点の目安)

防犯カメラの常時録画で標準的に使われる帯です。4Mbpsで24時間録画すると年間の書き込み量は約15.8TBになるため、TBWを公表している製品なら年数の見当がつきます。高解像度や高フレームレートで撮る機器はV30以上を要求することがあるので、機器の取扱説明書に書かれた要求記号を先に読みます。購入前に、TBWや録画時間の記載とその前提、機器が対応する容量区分(SDHCまでかSDXCか)と最大容量、機器側でフォーマットできる形式、保証期間と適用条件を確認してください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

録画機側の仕様が使えるカードを決める

カードのデータシートより先に読むべき資料は、カメラや録画機の取扱説明書です。組み込み機器には認識できる容量の上限があり、動作を確認したカードの一覧が示されていることもあります。国民生活センターは2018年8月2日公表の調査で、消費者の1割以上が仕様に合っていないSDカードを使用している可能性があったと報告しています。カード側の性能を上げても、機器が受け付けなければ意味がありません。

  1. 1

    対応する容量区分と上限を読む

    SDHCまでの機器に128GBのSDXCカードを挿しても、認識しないか正しく動きません。取扱説明書の対応容量の記載を先に確認します。
  2. 2

    要求されている速度クラスの記号を読む

    機器がClass 10を要求するのかU3やV30を要求するのかで、選ぶ製品が変わります。同じか上位の記号を選びます。
  3. 3

    フォーマットの方法を確認する

    機器側のメニューでフォーマットする方式が推奨されている機種が多くあります。パソコンで初期化した形式では動かないことがあります。
  4. 4

    動作確認済みカードの一覧を探す

    メーカーが型番単位で一覧を公開している場合があります。そこから選ぶと初期化や上書き動作でのつまずきが減ります。
  5. 5

    健全性の情報が取れるかを見る

    カードの摩耗状況を機器から確認できる機能があるかを確認します。あれば交換時期の判断が客観的になります。

フォーマットの方法には注意点があります。SDアソシエーションは、SD/SDHC/SDXC/SDUCカードのフォーマットには、各OSに付属するフォーマットツールではなく同団体が配布するSD Memory Card Formatterを使うことを強く推奨しており、OS付属のツールは各種の記憶媒体をフォーマットできるもののSDカード向けに最適化されておらず性能の低下につながる可能性があると説明しています。ただし録画機やドライブレコーダーでは、機器側のフォーマット機能を使うよう指示されていることが一般的です。指示がある場合はそちらを優先します。

健全性の情報については、機器側の対応が前提になります。Western DigitalはWD Purple SC QD101について、全容量でカードヘルスステータス監視機能に対応すると記載しつつ、通知を受け取れるのは対応するカメラの場合だとしています。Axisは自社の監視用カードに摩耗の進行を追跡する健全性監視の仕組みがあり、交換が必要になる数ヶ月前に通知を受け取れると説明しています。ハードディスクのS.M.A.R.T.のように汎用的に読み出せる仕組みが常にあるわけではないため、カードと機器の組み合わせで決まる機能だと考えます。

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記録メディアは証拠になるという前提で守る

防犯カメラやドライブレコーダーの記録は、事故や事件のときに事実を示す材料になります。同時に、特定の個人を識別できる映像が入った可搬媒体でもあります。この二面性が、記録メディアを扱ううえでの前提になります。

第一に、抜き取られると記録が消えます。カメラ本体が屋外の手の届く高さにあり、カードスロットに鍵がかからない機種では、映っている側がカードを抜いて持ち去るという事態が成立します。対策は物理的なもので、設置の高さ、筐体の施錠、スロット部を覆うカバーの有無を購入前に確認します。個人情報保護委員会のパンフレット「民間事業者向け カメラと個人情報保護法」も、物理的安全管理措置として、カメラや画像データを保存する電子媒体等の盗難または紛失を防ぐために設置場所に応じた適切な安全管理を行うことを挙げています。

第二に、抜き取られると中身が読まれます。microSDカードはパソコンに挿せば読めるのが普通です。Axisは、自社のカメラが機器内で監視用カードに暗号化を適用する機能を備えており、暗号化を適用しておけば権限のない人物がカードを取り出してもデータにアクセスできないと説明しています。対応する方式として、AXIS OS 5.80.1以降の全機器でAES-CBC 128ビット、AXIS OS 8.40.1以降でAES-CBC 256ビット、AXIS OS 8.30.1の新しい機器でAES-XTS-Plain64(AES-XTS-512 256ビット)を挙げています。同等の機能が使えるかは機器側の仕様なので、カードの選定と並行して確認します。

第三に、カード1枚に依存しない構成にします。Axisはエッジストレージの使い方として、中央のシステムが使えないときにローカルで録画する冗長ストレージや、ネットワーク断の間だけカードに保存して復旧後に中央のVMSが欠落した映像を自動的に取得するフェイルオーバー録画を挙げています。家庭や小規模オフィスでは、動体検知時にクラウドへ送る機能、NASや録画機への並行記録が同じ役割を果たします。

Axisは、カメラ内で監視用カードに暗号化を適用でき、適用後は権限のない人物がカードを取り出してもデータにアクセスできないと述べています。対応方式としてAES-CBC 128ビット、AES-CBC 256ビット、AES-XTS-Plain64を挙げています。

保存期間の考え方も、記録メディアの選定に跳ね返ります。個人情報保護委員会のパンフレットは、防犯カメラの撮影に関する裁判例で考慮されてきた要素として撮影された画像の管理方法を挙げ、その例に保存期間の長さ(90時間、2週間、1ヶ月、45日間等)や、画像を閲覧できる者が限定されているか、他の媒体に保存して持ち出せないようにされているかを示しています。長く残すほど、盗難や紛失のときに影響する範囲も広がります。必要性から日数を決め、その理由を記録に残しておくと、後から説明できます。

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高耐久microSDXCカード(256GBから512GBの大容量)

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高耐久microSDXCカード(256GBから512GBの大容量)

価格の目安: 6千円台から(執筆時点の目安)

複数台のカメラを運用する現場や、保存日数を長めに確保したい構成で候補になる帯です。容量が大きいほど同じ書き込み量に対する消耗が分散するため、耐久の面でも有利になります。一方で、機器が認識できる最大容量を超えると使えず、保存日数が延びるぶん漏えい時に影響する範囲も広がります。購入前に、機器側の最大容量とSDXCへの対応、TBWや録画時間の公表値、保証期間、そして必要な保存日数から見て容量が過大でないかを確認してください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

偽造カードと容量偽装を買わないための確認

高耐久カードは通常のカードより高価なため、偽造の対象になります。SDアソシエーションは、偽造品を作ったり売ったりする事業者に規格や仕様を守る義務がないことを問題として挙げ、具体的な被害の例を示しています。パッケージには256GBと書かれているのに実際は16GBしか入らない製品があること、実容量を偽装するソフトウェアによってパソコン側からは256GBに見えてしまう手口があることが記載されています。速度についても、パッケージが約束するスピードクラスに対応していない場合、コンテンツの劣化や想定より低い転送速度につながるとしています。

容量偽装のカードでは、実容量を超えて書き込んだデータが正しく保持されないことがあります。上限を超えたあとの挙動は製品によって異なりますが、機器が書き込めたと認識したまま録画を続け、再生しようとした段階で初めて読めないと分かる形になると、録画の用途では発見が遅れます。国民生活センターのテストでも、読み書きできないSDカードを用いた際に異常として検出しなかった3銘柄では、録画している表示が出ていたにもかかわらず記録がされていなかったと報告されています。

購入の段階では、SDアソシエーションが示す指針が有効です。同団体は、SD-3CのサイトにあるCLAライセンシーの一覧に載っている事業者、またはSD-3C LLCを構成する企業から購入することを勧め、電子商取引サイトでは第三者の出品者から買うときに注意が必要だと述べています。マーケットプレイスの出品者や、正規価格から大きく外れた価格には慎重になります。

SDアソシエーションの記事は、パッケージに256GBと書かれていながら実際には16GBしか保持できない例や、実容量を隠して256GBと認識させるソフトウェアの存在を挙げています。対策として、SD-3CのサイトにあるCLAライセンシー、またはSD-3C LLCを構成する企業から購入することを勧めています。

届いたカードを実測する手段もあります。F3(Fight Flash Fraud)は、フラッシュカードの容量と性能が公称仕様どおりかを検査するツールで、疑似乱数データで媒体を埋めてから読み出し、同じ内容が返るかを検証します。マウント済みの媒体に対して書いて読むf3writeとf3read、未マウントのブロックデバイスに対して少ない書き込みで検査するf3probeが用意されており、ライセンスはGPLv3です。f3probeについては公式のREADMEに、実行するとディスクに保存されていたデータが破壊されるという警告が置かれています。f3writeはマウントした媒体に検査用のファイルを書き込む方式で、既存のファイルを消すわけではありませんが、空き容量を埋めるため運用中の媒体に対して行う検査ではありません。どちらも記録の残っていないカードに対して、自分が所有するカードにだけ行います。他人の車両やカメラから記録メディアを無断で抜き取る行為は、窃盗などの罪に問われる可能性があります。検証は自分が管理する機器と媒体に限り、法的な判断に迷う場面では弁護士など専門家に相談してください。

廃棄と譲渡でデータを残さない

カードを交換したあと、外した古いカードをどう扱うかまでが運用です。映像が入ったまま引き出しに置いておくと、盗難や紛失のときにそのまま漏えいにつながります。

ここで押さえておきたいのが、フラッシュメモリでは論理的な上書きが期待どおりに働かないという性質です。NISTのSP 800-88 Revision 2「Guidelines for Media Sanitization」(2025年9月、Revision 1を置き換え)は、予備セルを持ちウェアレベリングを行うフラッシュメモリベースの記憶装置では、通常の読み書きインタフェースでは機微なデータが保存されていた領域すべてを直接アドレス指定できないため、上書きによって過去のデータをすべて抹消することは利用者には現実的でないと述べています。同文書は、磁気媒体で上書きに頼ってきた利用者がフラッシュベースの媒体にも同じ手法を適用し続けると、意図しない開示の危険にさらされうるとも指摘しています。

同文書はサニタイズの方法を三つに整理しています。クリア(clear)は標準の読み書きコマンドを通じて適用する方法で、上書きや工場出荷状態への初期化が含まれ、媒体は使える状態のまま残ります。パージ(purge)は、最新の実験室的手法をもってしてもデータ復元を不可能にしつつ媒体を再利用できる状態に保つ方法で、専用のサニタイズコマンドによる上書きやブロック消去、暗号消去(cryptographic erase)が含まれます。デストロイ(destroy)は、データ復元を不可能にすると同時に媒体を記憶装置として使えなくする方法で、分解、焼却、溶融、粉砕、細断が挙げられています。

暗号消去は、データを暗号化する鍵そのものを消すことで実現します。同文書は、暗号消去が対象データを迅速にサニタイズできる点で注目に値するとしたうえで、その有効性が暗号機能の素性と一定の前提条件を満たすかに依存すると述べています。前提条件としては、ISO/IEC 27040を引いて、その媒体に機微なデータが平文で保存されたことがないこと、そして対象となる鍵の複製をすべてサニタイズできることが挙げられています。運用の最初からカメラ側の暗号化を有効にしていた場合に、この考え方が候補になります。逆に、暗号化していないカードを機器のフォーマット機能で初期化しただけでは、クリアに届かないことがあります。同文書はクリアについて、利用者が使えるインタフェースから元のデータを取り出せない状態であることを条件としており、ファイルの管理情報を書き換えるだけの初期化では、通常の読み出しで内容が復元できる場合があります。

物理破壊についても注意書きがあります。同文書は、曲げる、切る、穴を開けるといった手法は媒体を部分的に損傷させるだけで、一部が実験室的手法でアクセス可能な状態のまま残ることがあると述べています。さらに、データ密度と部材の硬度が上がるにつれて特定の破壊手法は効果が薄れるとし、粉砕や細断は最も低い機密区分のデータ以外には避けるべきだとしています。microSDカードのように小さく密度の高い媒体では、ハサミで切っただけで安心してよいわけではないという読み方になります。

NIST SP 800-88r2(2025年9月)は、予備セルとウェアレベリングを持つフラッシュメモリベースの記憶装置では、通常の読み書きインタフェースで全領域を直接アドレス指定できないため、上書きによる全データの抹消は利用者には現実的でないと述べています。また、粉砕や細断は最も低い機密区分のデータ以外には避けるべきだとしています。

実務としての落としどころは、次の順序になります。運用中から暗号化しておく、交換したカードは施錠できる場所で一時保管する、廃棄するときは記録されていた内容の性質に応じて方法を選ぶ、という流れです。個人が識別できる映像が入っていた媒体であれば、専門の廃棄事業者に委託して処理の証明を受け取る方法が確実です。暗号消去を選ぶ場合は、最初から暗号化して使っていたことに加えて、鍵を消去する手順が機器側に用意されているかを確認します。Axisの資料が説明しているのはカードを抜き取られたときのアクセス防止であり、暗号消去の手順そのものではありません。どの方法を採るかは、記録されていた内容の性質と、機器がどこまでの機能を備えているかで決まります。

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産業用microSDカード(pSLC相当、32GBから64GB)

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産業用microSDカード(pSLC相当、32GBから64GB)

価格の目安: 5千円台から(執筆時点の目安)

業務用の車両や、止まると影響が大きい設備の記録に使う帯です。pSLCは多値セルを1ビットだけ使うモードで、容量あたりの価格は上がるかわりに書き換え耐性が高くなります。容量が小さい製品が中心のため、保存日数を長く取りたい用途とは相性が悪くなります。購入前に、pSLCであることが仕様欄に明記されているか、書き換え回数やTBWの記載とその前提、動作温度の範囲、機器が対応する容量区分(32GBまでの機器ならSDHCであること)、保証期間と法人向けの交換対応の有無を確認してください。用途に対して過剰な仕様になっていないかも、あわせて見ます。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

交換の兆候と定期点検の手順

microSDカードは消耗品です。壊れてから気づく形にしないために、兆候を知っておき、点検を習慣にします。

ユピテルは自社の解説で、SDカードが消耗品であり映像記録の上書きを繰り返すことで書き込みエラーが発生して動作に不具合が起こりやすくなると述べ、異常を疑う状態として記録映像が設定時間より短い場合や、Windows Media Playerなどでの再生時にエラーが発生する場合を挙げています。ここに、機器が起動のたびにフォーマットを要求するようになった、特定のファイルだけ再生できない、録画ファイルの一部が0バイトになっている、といった状態を加えて見ていきます。

フォーマットの頻度についても、機器メーカーが目安を示しています。ユピテルは2週間に1回から月に1回程度の定期的なフォーマットを勧めたうえで、運転頻度に応じた調整が必要だとしています。JVCケンウッドは、同社のドライブレコーダーGC-DR1について2週間に1度を目安としてフォーマットすることが推奨されていると案内しています。防犯カメラでも、機器の説明書に同種の推奨があれば従います。フォーマットの前に、残したい映像を別の場所へ退避することを忘れないようにします。

  1. 1

    録画されているかを毎回確かめる

    起動時に録画中の表示が出ているか、直近の日時のファイルが増えているかを見ます。表示が出ていても記録されていない事例が報告されているため、表示だけを根拠にしません。
  2. 2

    月に1回は実際に再生する

    パソコンや機器の再生機能で、任意の時刻の映像を最後まで再生します。夜間や逆光の時間帯も含めて確認すると、画質の設定の問題にも気づけます。
  3. 3

    退避してからフォーマットする

    必要な映像を別の場所へコピーし、コピーが再生できることを確かめてから、機器のメニューでフォーマットします。機器側の手順が指定されている場合はそれに従います。
  4. 4

    健全性の情報が取れるなら記録する

    カードと機器の組み合わせで摩耗状況を確認できる場合は、値を日付とともに残します。変化の速さが交換時期の判断材料になります。
  5. 5

    使用開始日と型番を台帳に残す

    カードごとに購入日、設置日、型番、設置場所を控えます。年間の書き込み量と公表されたTBWから、交換の目標時期を先に決めておきます。
  6. 6

    予備を1枚用意しておく

    不調が出た時点ですぐ差し替えられるようにします。差し替えたカードは、原因を確認するまで上書きしないで保管します。

交換の時期は、兆候が出てからではなく、書き込み量から先に決めておくほうが確実です。前掲の概算で年間の書き込み量を出し、公表されたTBWに達する前に交換する前提で計画します。本記事では保守的な目安として半分に達するあたりを一つの区切りに置いていますが、必要な余裕は設置環境や記録の重要度、健全性の情報が取れるかどうかで変わります。公表値がない製品を使っている場合は、機器メーカーが示す交換の目安に従います。

microSDだけに頼らない録画の組み立て

ここまでの内容を踏まえると、カード1枚の耐久を上げるだけでは足りない場面が見えてきます。国民生活センターは、消費者へのアドバイスとして、記録した映像を定期的に確認すること、SDカードを定期的にフォーマットして使うほか消耗品であることから定期的に新しいものと交換すること、そして定期的なフォーマットが不要なドライブレコーダーや耐久性が高いとうたったSDカードも販売されているので目的や使用方法に応じて商品を選ぶことを挙げています。カードの選定は、運用と機器の選定と組み合わせて初めて効いてきます。

組み立て方は三つあります。第一に、動体検知やイベント検知のときだけクラウドへ送る構成です。全時間をクラウドに上げると通信量と費用がかさむため、必要な場面だけを外に出します。第二に、NVRやNASへの並行記録です。カメラのカード録画を残しつつ、ネットワーク越しに同じ映像を別の場所へ書きます。第三に、機器側のフェイルオーバー機能です。中央のシステムが使えない間だけカードに録画し、復旧後に自動で回収する方式なら、カードへの書き込み量そのものが減って寿命の面でも有利になります。

保存の場所を増やすことは、漏えいの経路を増やすことでもあります。複製先の権限、通信の暗号化、保存期間の設定を、複製元と同じ水準でそろえます。個人情報保護委員会の資料が示すとおり、必要性から保存期間を決め、必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努めるという考え方は、複製先にも同じように当てはまります。録画機側のディスクの選び方は、別の記事で整理しています。

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注意

録画中の表示が出ていることは、記録できていることの証明になりません。国民生活センターのテストでは、読み書きできないSDカードを入れた場合に異常を検出しなかった3銘柄で、録画している表示が見られたにもかかわらず記録がされていませんでした。定期的に映像そのものを再生して確かめる手順を運用に組み込んでください。

国民生活センターは2018年8月2日公表(2018年11月6日更新)の発表情報で、PIO-NETにドライブレコーダーに関する相談が2013年度以降444件、うち映像が残っていなかったなど記録に関する相談が88件寄せられていると報告しています。アンケートでは約6割がSDカードのフォーマットや交換が必要なことを知らず、約6割が実施していなかったこと、1割以上が仕様に合っていないSDカードを使用している可能性があったことが示されています。

購入前と運用中に確認する項目

  • 使う機器の取扱説明書で、対応する容量区分(SDHCかSDXCか)と最大容量、要求される速度クラスの記号を確認した
  • 自分の用途のビットレートと稼働時間から、年間の書き込み量を概算した
  • 候補の製品にTBWまたは録画時間の記載があり、その数値がどんな書き込みを前提にしているかを確認した
  • 異なる単位の公表値(時間とTBW)を、そのまま大小比較していない
  • 速度クラスは最低書き込み速度の表示であり、耐久性の表示ではないことを理解して選んだ
  • セル種別の記載がある場合も、コントローラの働きで結果が変わることを踏まえて判断した
  • 購入元が正規の販売経路であることを確かめ、極端に安い出品を避けた
  • カメラ本体の設置高さと施錠、カード内の暗号化に対応しているかを確認した
  • 重要な映像をカード以外の場所へ複製する経路を用意し、再生できることを試した
  • フォーマットと再生確認の頻度を決め、交換の目標時期を書き込み量から算出した
  • 交換で外したカードの保管場所と、廃棄の方法(暗号消去または委託)を決めた

買う前に決める三つの数字

高耐久microSDカードの選定は、三つの数字をそろえる作業に集約できます。機器が受け付ける容量区分と上限、自分の用途での年間の書き込み量、製品が公表する耐久指標です。一つめが選べる範囲を決め、二つめと三つめの比が実際に使える年数を決めます。この三つが噛み合っていない構成は、認識しないか、想定より早く消耗するかのどちらかに向かいます。

そのうえで、速度クラスと耐久指標を混同しないことが、無駄な出費を避ける近道になります。V30と書かれたカードは毎秒30MBで書けるカードであって、長持ちするカードではありません。監視向けの高耐久製品でも速度クラスはClass 10とU1という例があるとおり、二つは別の軸です。機器が要求する速度の記号を満たしたうえで、耐久指標を比べます。

最後に残るのが、壊れたときと抜かれたときの設計です。記録メディアは証拠になる一方で、そのまま持ち出せる個人情報の塊でもあります。カード内の暗号化、複製先の用意、廃棄時のデータ消去まで含めて決めておくと、カードが1枚壊れても、1枚抜かれても、被害を小さくできます。NISTの資料が示すとおり、フラッシュメモリでは論理的な上書きだけで過去のデータを消し切ることは現実的ではありません。運用に入る前に暗号化しておくという判断が、廃棄の段階で効いてきます。

出典・参考

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