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改ざん防止シールの選び方。開封の痕跡を残して機器と媒体の封緘を管理する

対象の目安: 機器や記録媒体の封緘を管理する情報システム担当 / 実務

アオイ防御・運用担当
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改ざん防止シールの選び方。開封の痕跡を残して機器と媒体の封緘を管理する

サーバーラックの扉、持ち出すノートPCのポート、外部へ郵送する記録媒体の封筒。いずれも「誰かが途中で開けたかどうか」を後から知りたい場面です。鍵は開けられる相手を絞る道具ですが、開けられた事実そのものを記録する仕組みは持ちません。ここで使うのが、はがすと元に戻せない痕跡が残る改ざん防止シールです。封緘シールやセキュリティラベル、VOIDシールとも呼ばれ、数十円から数百円の消耗品でありながら、点検と記録の運用に組み込むと機器や媒体の状態を継続的に確認する土台になります。

この記事は、機器や記録媒体の封緘を管理する情報システム担当に向けて、改ざん防止シールが何を検知して何を防がないのかを整理します。そのうえで、開封痕の方式や貼付面の条件、連番と台帳の運用という選定の軸を示し、メーカー公式で仕様を確認できた製品の候補を挙げます。規格の位置づけは公開されている一次情報で確認できた範囲に限り、確認できないことは書きません。

なお本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。紹介する製品の効果や適合性を保証するものではなく、最終的な購入判断はご自身の利用環境に照らしてお願いします。詳細は広告およびアフィリエイトについてをご覧ください。

開封を止めるのではなく開封を記録する

改ざん防止シールの機構は単純です。強い粘着剤で被着体に貼り付いた表面基材が、はがそうとすると元の形に戻れない状態へ変化します。文字が転写されて被着体に残る、表面基材が層で裂ける、もろいフィルムが割れて破片が残る。いずれも、次に見た人が「一度はがされた」と判別できる状態をつくります。逆に言えば、シールは物理的な障壁ではありません。刃物で切る、シールごと部品を外す、シールが貼られていない別の面から手を入れるといった行為を止める力は持ちません。

したがってこの道具は、鍵や施錠キャビネットと役割が異なります。鍵は開けられる人を絞り、シールは開けられた事実を残します。両方を重ねると、許可された人だけが触れる状態を作りつつ、その範囲内で想定外の開封があったかどうかを後から確認できるようになります。ラックや保管庫の施錠と組み合わせる前提で導入すると、シールに過大な期待をかけずに済みます。

注意

「貼るだけで改ざんを防止できる」という説明は正確ではありません。シールが提供するのは開封の検知であり、開封の阻止ではありません。検知が意味を持つのは、誰かが定期的に見て記録と照合する運用がある場合だけです。貼りっぱなしで誰も確認しない封緘は、コストだけがかかって何も検知しません。

機器を収める側の施錠と扉の管理をあわせて設計すると、封緘の対象と点検の頻度を決めやすくなります。

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ISO 17712が対象とする範囲

セキュリティシールの規格として名前が挙がるISO 17712は、適用範囲を正しく理解しないと誤用につながります。この規格は輸送用コンテナに用いる機械式シールを対象としており、事務用の封緘ラベル全般を対象とする規格ではありません。米国税関国境警備局(CBP)のC-TPAT向け文書は、この規格が「機械式の貨物コンテナシールの分類、受入れ、撤回に関する統一手順を定め、国際商取引でコンテナを封印するために許容される機械式シールの単一の情報源を提供する」ものだと引用しています。

同じ文書は、ISO 17712がシールの強度区分をIndicative(I)、Security(S)、High Security(H)の3種類に定義し、C-TPATはHクラスの使用を求めていると記しています。また、シールの分類は第三者試験所による検証が必要で、その試験所はISO/IEC 17025の認定を受けている必要があるとしています。さらに、高セキュリティシールには開封の兆候を示す機能(tamper indicative features)が組み込まれていることを、第三者の認定監査人が確認する仕組みがあると説明しています。

CBPのC-TPAT向け文書は、ISO 17712の適用範囲を貨物コンテナの機械式シールと明記し、強度区分としてI、S、Hの3クラスを挙げ、C-TPATがHクラスを要求すること、および2013年版が2014年5月15日から発効することを説明しています。

つまり、オフィスで封筒やキャビネットに貼る紙やフィルムのラベルに「ISO 17712準拠」を求めるのは、規格の適用範囲を外れた要求です。事務用の封緘ラベルには対応する公的な強度区分がないため、選定はメーカーが公開する素材仕様と、自組織で決めた運用要件を根拠に行うことになります。国際輸送のコンテナを扱う業務であれば、ISO 17712のHクラスに適合するシールが要件になりうるという住み分けです。

開封痕の方式で分ける

ラベル素材メーカーであるリンテックは、改ざん防止用ラベル素材を大きく2系統に整理しています。一つは、はがすと文字が転写されるタイプです。ラベルをはがすと被着体とラベルの両方に「開封済」や「VOID」の文字が現れ、被着体とラベルの双方に痕跡を残します。もう一つは、はがすと表面基材が破壊するタイプです。こちらはさらに、特殊ポリプロピレン系フィルムを使い表面基材が層間で裂けるように壊れる易破壊タイプと、もろい塩ビフィルムを使い表面基材が壊れて被着体に残るぜい質タイプに分かれます。

リンテックのLivastaは、改ざん防止用ラベル素材を「剥がすと文字が転写されるタイプ」と「剥がすと表面基材が破壊するタイプ」に分け、後者を易破壊タイプとぜい質タイプとして説明しています。文字転写タイプには特殊蒸着ポリエステルフィルムのシルバータイプと、化粧箱などの封印用として透明ポリエステルフィルムのタイプがあると記載されています。

これに加えて、はがしたときにラベル側だけに文字が現れ、被着体には文字を残さない非転写のタイプがあります。サンワサプライの使用禁止用セキュリティシールSL-3H-50は、はがすとシールに「VOID」の文字が出るとしており、設置面に糊が残らないため、よく使うUSBポートやLANポートの無断使用防止に利用できると案内されています。転写タイプは痕跡が濃く残る反面、被着体に文字と糊が残るため、貸与端末や納品前の機器には向きません。

サンワサプライはSL-3H-50について、貼ってはがすとシールに「VOID」の文字が出ること、設置面に糊が残らないタイプのためよく使うUSBポートやLANポートなどの無断使用防止に利用できることを記載しています。

方式開封後の状態向く用途
文字転写タイプ被着体とラベルの両方に「VOID」や「開封済」が残る保管中の筐体や書庫、証拠物のように痕跡を強く残したい対象
非転写タイプラベル側にだけ文字が出て被着体に残らない返却や再利用がある貸与端末、頻繁に使うポート
易破壊タイプ表面基材が層間で裂けて壊れる貼り替えや再利用を防ぎたいラベルの上書き対策
ぜい質タイプもろいフィルムが割れて破片が被着体に残る剥離を試みた形跡をはっきり残したい対象

貼付する面と環境の条件

痕跡が出るかどうかは、貼る面の材質と状態に強く依存します。素材ごとに使える被着体が決まっており、条件を外すと粘着が足りず、意図した痕跡が出ないまま剥がれてしまいます。サンワサプライはSL-3H-50について、使用可能な対象物としてステンレスや鉄などの金属類、アクリルやABS樹脂やPVCやPPなどのプラスチック類、ガラス類を挙げ、使用不可能な対象物として軟質塩化ビニル、ナイロン、凹凸のある面を挙げています。ヒサゴも開封防止ラベルOP2407について、皮革や木材や曲面に貼るとはがれることがあると注意し、被着面の水分や油分やゴミを取り除いてから貼るよう案内しています。

紙とプラスチックでは求める性質が逆になります。封筒の封緘では、はがしたときに封筒の紙が破れてしまうと、痕跡なのか輸送中の破損なのか判別しにくくなります。ヒサゴのOP2412は封筒用として、紙の表面を傷めずにはがせるタイプであり、封筒や書類など紙類の封かんに適していると説明されています。一方でOP2407は光沢のあるシルバーフィルムタイプで、紙の表面を傷める場合があるため封筒などの紙類には適していないとされ、プラスチックケースなどに向くと案内されています。同じメーカーの同じ用途でも、貼る面によって選ぶ品番が変わります。

ヒサゴは開封防止ラベル封筒用12面(OP2412)について、ラベルをはがすと「VOID」の文字が現れること、紙の表面を傷めずにはがせるタイプのため封筒や書類など紙類の封かんに適していることを記載し、皮革や木材や凹凸面には貼り付けできないと注意しています。

温度と屋外の条件も確認が要ります。粘着剤は低温で初期粘着が下がり、高温や直射日光では糊が軟化して糊残りが増える傾向があります。サーバールームの内部であれば環境は安定していますが、屋外の受電盤や無人拠点のラック、冷蔵設備に貼る場合は、メーカーが公開する使用温度範囲と被着体の指定を必ず確認してください。製品ページに温度条件の記載がない事務用ラベルは、常温の屋内を前提にしていると考えるほうが安全です。

貼付位置とサイズの決め方

素材が合っていても、貼る場所を外すと検知になりません。基本は、開閉すると必ず分離する二つの面をまたいで貼ることです。ラックの扉であれば扉と側板、機器の筐体であれば上蓋とシャーシ、保管箱であれば蓋とフラップの合わせ目が対象になります。片方の面だけに貼ったシールは、扉を開けても無傷のまま残るため、後から見ても何も語りません。

貼る位置は、毎回同じ場所に再現できるかどうかも判断材料になります。位置がその都度ずれると、点検者は「前回と違う位置に見えるが貼り直されたのか」を判断できません。筐体の刻印やネジ穴、ラベルの角など、動かない目印を基準にして「この刻印の右下」と決めておくと、写真と突き合わせたときの判断が速くなります。ネジ頭をまたいで貼っておくと、分解の有無まで見えるようになります。

サイズは、対象の合わせ目の幅と、必要な情報量から決めます。連番と担当者印を載せるなら、SL-4H-50のW70×H22mmのように横長で面積のある形が扱いやすくなります。ポートや小さな筐体の隙間であれば、SL-3H-50のW19×H23mmのような小型が収まります。大きすぎると曲面や段差にかかって浮きやすく、小さすぎると連番が読み取りにくくなるため、実物を1枚貼って確認してから数量を発注すると失敗が減ります。

連番と台帳が検知を成立させる

シール単体は痕跡を残すだけで、それが「想定外の開封」かどうかを判断する材料は持ちません。判断を可能にするのが連番です。貼った日時と貼付者、貼付位置、シールの連番を台帳に記録しておけば、点検時にその場のシール番号と台帳を照合できます。番号が一致しなければ、一度はがして別のシールを貼り直したことになります。サンワサプライのSL-4H-50は、はがした後に同じシールを貼るという成りすましを防ぐために連番が印刷されており、担当者印を押せるため管理者が明確になると説明されています。

NIST SP 800-53 Rev. 5の管理策MP-5(Media Transport)は、管理された領域の外へ媒体を輸送する際に媒体を保護および制御し、輸送中の媒体について責任の所在(accountability)を維持し、輸送に伴う活動を文書化し、輸送に関わる活動を許可された要員に限定することを求めています。解説では、輸送中の責任の所在を維持することには、輸送活動を許可された要員に限定し、媒体が輸送過程を移動する際の輸送活動の記録を追跡または取得して、紛失や破壊や改ざんを防止および検知することが含まれると述べられています。シールは、この「検知」を物理的に支える一手段として位置づけられます。

NIST SP 800-53 Rev. 5のMP-5は、管理された領域外での媒体輸送における保護と制御、責任の所在の維持、活動の文書化、許可された要員への限定を求めています。管理策強化MP-5(3)は、管理された領域外へ媒体を輸送する際に特定されたカストディアン(custodian)を配置することを規定しています。

国内の資料では、IPAの「組織における内部不正防止ガイドライン」が、持ち出し可能なノートPCやスマートデバイス、USBメモリやCD-Rなどの記録媒体を物理的に保護された場所から持ち出す場合に、持ち出しの承認および記録などの管理をしなければならないとしています。持ち出す際には部門管理者などの承認を得ること、持ち出した情報資産と日時と担当者名を記録して管理することを対策のポイントとして挙げています。封緘シールの連番台帳は、この持ち出し記録と同じ台帳に列を足す形で運用すると二重管理を避けられます。

IPAの「組織における内部不正防止ガイドライン」は、記録媒体の持ち出しに承認と記録を求め、持出記録を付けていないと内部不正が発生したときの調査が困難になる可能性があると述べています。

持ち出す端末のポート側の対策も、同じ台帳で扱うと運用がそろいます。

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シールそのものの保管と払い出し

台帳を作っても、未使用のシールが誰でも取れる場所に置かれていれば、開封後に新しいシールを貼って痕跡を消すことができます。連番の意味は、番号を管理された者しか新しいシールを出せない状態があって初めて生まれます。CBPの文書は、コンテナ用シールについて、適用と閉鎖の前に操作できる状態にあるとシールは改ざんに対して脆弱になるため、許可されていない者や訓練を受けていない者がシールを扱うべきではないと述べ、シールの完全性を保つプロセスを確立するよう促しています。対象は輸送用シールですが、未使用の封緘材の管理という考え方は事務用でも同じです。

実務としては、未使用のシールを施錠キャビネットに保管し、払い出し時に連番の範囲と受領者を記録します。使い残りのシートを個人の引き出しに放置しない、不良や貼り損じで廃棄した番号も記録に残す、といった細かい取り決めが、番号の抜けを説明できる状態を保ちます。保管する側の器具は、鍵の管理方式が運用のしやすさを左右します。

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証拠保全での封緘と管理の連鎖

インシデント対応で押収した端末や媒体を扱う場面では、封緘の位置づけがさらに重くなります。NIST SP 800-86は、法的または内部の懲戒手続きで証拠を用いる可能性がある場合、証拠の取り扱いミスや改ざんの主張を避けるために明確に定義された管理の連鎖(chain of custody)に従うべきだとしています。具体的には、証拠を物理的に保管したすべての人物のログを保持し、いつどのような行為を証拠に対して行ったかを文書化し、使用していないときは安全な場所に保管し、複製を作って複製側で調査と分析を行い、原本と複製の完全性を検証することを挙げています。

同じ文書は、証拠収集を支援するために事前に準備しておく用品の例として、糸綴じのノート、管理の連鎖の様式、証拠保管袋とタグ、証拠テープ、デジタルカメラを挙げています。可能であれば現場の一人を証拠管理者(evidence custodian)に指定し、収集したすべての品目の撮影と文書化とラベル貼付、および実施したすべての行為と実施者と場所と時刻の記録を専任させるべきだとも述べています。封緘テープや証拠袋は、この一連の記録を裏づける物理的な補強として位置づけられています。

NIST SP 800-86は、証拠の取り扱いミスや改ざんの主張を避けるために明確な管理の連鎖に従うべきだとし、証拠を扱った人物のログ、行為と時刻の文書化、安全な場所での保管、複製での分析、原本と複製の完全性検証を挙げています。証拠取り扱い用品の例として、証拠保管袋とタグ、証拠テープ、デジタルカメラを列挙しています。

証拠として扱う可能性がある機器を封緘するときは、封緘前後の状態を写真で残すことが記録の質を大きく左右します。シールの連番、貼付した位置、機器の型番と製造番号が同じ写真に写るように撮ると、後から見返したときに対応関係を説明しやすくなります。証拠保全の全体像は関連記事で整理しています。

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用途別に選ぶときの目安

同じ改ざん防止シールでも、対象によって求める性質が変わります。貼る面の材質、剥離後に糊や文字を残してよいか、連番が要るかを軸に整理すると選びやすくなります。

用途貼る面選ぶときの目安
サーバーラックや機器の筐体塗装鋼板や樹脂転写タイプで痕跡を強く残す。扉の合わせ目をまたぐ位置に貼り、連番を管理台帳に記録する
持ち出しPCのポート樹脂や金属の小面積非転写で糊残りしないタイプ。ポートに合う小さめのサイズを選ぶ
記録媒体の郵送封筒やケース紙を傷めずにはがせる封筒用と、プラスチックケース用を使い分ける
廃棄業者への引き渡し保管箱やコンテナ連番入りを使い、引き渡し時と受領証の番号を突き合わせる
監査対応の保管品保管箱や書庫の扉貼付日と担当者印を残せるタイプ。点検記録とセットで保存する

廃棄業者へ引き渡す媒体は、封緘と消去の両方を記録に残すと後から説明できます。消去と廃棄の手順は関連記事で扱っています。

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導入の手順

購入して貼るだけでは検知になりません。次の順序で整えると、点検時に判断できる状態になります。

  1. 1

    封緘する対象と貼付位置を決める

    どの機器のどの合わせ目、どの媒体のどの面に貼るかを一覧にします。扉やカバーの開閉部をまたぐ位置でなければ、開けても痕跡が出ません。位置の基準を写真つきの手順書にしておくと、担当者が変わっても貼り方がぶれません。

  2. 2

    貼付面の材質に合う製品を選ぶ

    金属、樹脂、紙、ガラスのどれに貼るかを確認し、メーカーが公開する使用可能な被着体の一覧と照合します。屋外や低温の場所があれば、使用温度範囲の記載も確認します。

  3. 3

    台帳の様式と連番の払い出しを決める

    シールの連番、貼付日時、貼付者、対象資産の管理番号、点検予定日を記録する列を用意します。未使用シールは施錠保管し、払い出した番号の範囲と受領者を記録します。

  4. 4

    貼付と同時に写真を残す

    被着面の汚れを拭き取ってから貼り、連番と貼付位置と対象機器が同じ写真に写るよう撮影します。写真は台帳の行と対応づけて保存します。

  5. 5

    点検と開封時の確認手順を運用に組み込む

    定期点検では、シールの有無ではなく連番の一致まで確認します。正規の開封では、開封前に番号を照合し、開封者と日時を記録してから新しいシールを貼り、新しい番号を台帳へ書き戻します。

  6. 6

    痕跡を見つけたときの連絡先を決めておく

    番号が合わない、シールが破れている、貼り直された跡があるといった状態を見つけた担当者が、その場で機器を触らずに誰へ連絡するかを決めます。連絡先と初動の手順を手順書の同じページに書いておきます。

実在する製品の候補

ここからは、メーカー公式で仕様を確認できた製品の候補を挙げます。いずれも事務用の封緘ラベルであり、輸送用コンテナのISO 17712高セキュリティシールとは別の製品群です。価格は執筆時点で公式に掲載されていた標準価格または目安で、実売は販売店により変動します。仕様や入手性も変わるため、購入前に各公式ページと販売ページで最新の情報をご確認ください。効果や適合性を保証するものではありません。

サンワサプライ 成りすまし防止タイプセキュリティシール SL-4H-50

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サンワサプライ 成りすまし防止タイプセキュリティシール SL-4H-50

価格の目安: メーカー標準価格は税込4,620円(執筆時点)。実売は販売店により異なります

連番が印刷された文字転写タイプのセキュリティシールです。サンワサプライ公式は、はがした後に同じシールを貼るという成りすましを防ぐために連番が印刷されていること、担当者印を押せるため管理者が明確になること、貼ってはがすとはがした部分に「VOID」の文字が残ることを挙げています。シールサイズはW70×H22mmで入数は50枚、対象物としてメディア媒体やパソコン周辺機器やキャビネットなどが示されています。台帳運用を前提に、連番と担当者印で管理者まで残したい場合の候補です。接着面に残った糊はセロハンテープなどで取り除くよう案内されています。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

サンワサプライ 使用禁止用セキュリティシール SL-3H-50

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サンワサプライ 使用禁止用セキュリティシール SL-3H-50

価格の目安: メーカー標準価格は税込4,400円(執筆時点)。実売は販売店により異なります

はがすとシール側に「VOID」の文字が出る非転写タイプです。サンワサプライ公式は、設置面に糊が残らないタイプのため、よく使うUSBポートやLANポートなどの無断使用防止に利用できると案内しています。シールサイズはW19×H23mmで入数は50枚、サイズが合わない場合はハサミで切れるとされています。使用可能な対象物はステンレスや鉄、アクリルやABS樹脂やPVCやPP、ガラス類で、軟質塩化ビニルやナイロンや凹凸のある面は使用不可とされています。貸与端末のように被着体へ痕跡を残したくない対象に向く候補です。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

ヒサゴ 開封防止ラベル 封筒用 12面 OP2412

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ヒサゴ 開封防止ラベル 封筒用 12面 OP2412

価格の目安: 10シート(120片)入りで執筆時点の目安はおおむね1,500〜2,500円

封筒の封緘に向く文字転写タイプのラベルです。ヒサゴ公式は、ラベルをはがすと「VOID」の文字が現れて開封したことが判別できること、紙の表面を傷めずにはがせるタイプのため封筒や書類など紙類の封かんに適していることを挙げています。ラベルサイズは40×20mm、シートはハガキサイズの12面付で入数は10シート、材質はPETで厚さは0.15mmとされています。記録媒体を封筒で郵送する運用の候補です。皮革や木材や凹凸面には貼り付けできないとされ、インクジェットプリンタ専用紙には使用できないと案内されています。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

ヒサゴ 開封防止ラベル だ円 12面 OP2407

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ヒサゴ 開封防止ラベル だ円 12面 OP2407

価格の目安: 10シート(120片)入りで執筆時点の目安はおおむね1,500〜2,500円

プラスチックケースなどに向く文字転写タイプのラベルです。ヒサゴ公式は、光沢のあるシルバーフィルムタイプで、はがす前は普通のラベルに見えるものの、はがすと「開封済」の文字が現れると説明しています。ラベルサイズは40×20mm、シートはハガキサイズの12面付で入数は10シートです。媒体ケースや樹脂製の保管箱を封緘する候補になります。紙の表面を傷める場合があるため封筒などの紙類には適さないとされ、皮革や木材や曲面ではがれることがあるため、被着面の水分や油分やゴミを取り除いてから貼るよう案内されています。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

サンワサプライはSL-4H-50について、連番の印刷と担当者印の押印に触れ、はがした部分に「VOID」の文字が残ると記載しています。仕様欄にはシールサイズW70×H22mm、入数50枚、表面基材としてアルミ蒸着処理を施したPETフィルム、粘着剤としてアクリル系溶剤タイプが挙げられています。

面付ラベルは1シートあたりの枚数が決まっているため、必要数を先に見積もると端数の管理が楽になります。年間の封緘回数に点検で貼り替える分と貼り損じの予備を足し、シート単位に切り上げて発注すると、途中で番号が途切れる事態を避けられます。

運用の点検リスト

改ざん防止シールの導入前と運用中の確認事項

  • 貼付する対象と、扉やカバーの開閉部をまたぐ貼付位置を一覧にしたか
  • 貼付面の材質がメーカーの使用可能な被着体に含まれるかを確認したか
  • 屋外や低温の設置場所がある場合、使用温度範囲の記載を確認したか
  • 被着体に文字や糊を残してよいか判断し、転写タイプと非転写タイプを選び分けたか
  • 連番入りが必要か判断し、台帳に記録する項目(連番、貼付日時、貼付者、対象資産、点検予定日)を決めたか
  • 貼付時に連番と位置と対象機器が写る写真を残す手順を決めたか
  • 未使用のシールを施錠保管し、払い出した番号の範囲と受領者を記録する運用にしたか
  • 定期点検でシールの有無だけでなく連番の一致まで確認する手順にしたか
  • 正規の開封時に、照合、記録、貼り直し、台帳更新までを一連の手順として文書化したか
  • 痕跡を見つけた担当者が機器を触らずに連絡する先を決めて周知したか

保管場所への出入りを記録する仕組みと組み合わせると、封緘の痕跡が見つかったときに時間帯から関係者を絞りやすくなります。

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運用でつまずきやすいところ

導入後に検知が働かなくなる原因は、シールの品質より運用の緩みにあります。よくあるのが、点検でシールの有無だけを見て番号を照合しないパターンです。番号を見なければ、同じ製品を別途購入して貼り直された場合に気づけません。点検の記録様式に「連番」の欄を作り、空欄では完了にできないようにしておくと、確認の抜けを様式で防げます。

次に多いのが、正規の作業で開封したときの記録漏れです。保守業者が機器を開けた、媒体を取り出して使ったといった正当な開封でも、台帳を更新しなければ次の点検で番号が合わなくなります。番号の不一致が日常的に発生する状態では、本当に想定外の開封があったときも「また更新漏れだろう」と流されてしまいます。開封作業の完了条件に「新しいシールの貼付と台帳更新」を含めておくと、記録が途切れにくくなります。

もう一つは、シールの経年劣化を異常と取り違えるケースです。長期間貼ったままのラベルは、端が浮いたり日焼けで文字が読みにくくなったりします。劣化と剥離痕を区別できるよう、貼付日を台帳に残し、一定年数を超えたものは正規の手順で貼り替えます。貼り替えのたびに旧番号と新番号の対応を記録しておけば、履歴として追えます。

管理策としての位置づけ

情報セキュリティマネジメントの枠組みでは、封緘や媒体の取り扱いは物理的な管理策の一部として扱われます。JIPDECの解説によれば、ISO/IEC 27001の2022年版では管理策が再構成され、15分類の構成から組織的、人的、物理的、技術的の4分類へ簡素化され、管理策数は114から93になりました。附属書Aの本文は有償の規格文書であるため、個々の管理策の文言をここで引用することはしません。物理的な管理策の中で封緘をどう位置づけるかは、規格の原本と自組織の適用宣言書に沿って判断してください。

改ざん防止シールは、それ単体で認証要件を満たす道具ではありません。台帳と点検記録が残り、記録が監査で追跡できる状態になって初めて、管理策の実施の証跡として機能します。逆に言えば、シールの単価や種類より、記録が続く運用を設計できるかどうかが導入の成否を分けます。長期保管する媒体の管理とあわせて考えると、点検の周期を無理のない範囲に決めやすくなります。

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まとめ

改ざん防止シールは、開封を止める道具ではなく、開封された事実を残して検知する道具です。開封痕の方式は、被着体とラベルの両方に文字が残る転写タイプ、ラベル側にだけ文字が出る非転写タイプ、表面基材が層間で裂ける易破壊タイプ、もろいフィルムが割れるぜい質タイプに分かれ、貼る面の材質と剥離後に何を残してよいかで選び分けます。規格については、ISO 17712が輸送用コンテナの機械式シールを対象とする点を押さえ、事務用ラベルへ拡大解釈しないことが前提になります。

選定で見るのは、開封痕の方式、使用可能な被着体、糊残りの有無、連番と担当者印の有無、サイズと入数、使用温度範囲です。そのうえで検知を成立させるのは運用です。NIST SP 800-53のMP-5が求める輸送活動の記録と責任の所在、NIST SP 800-86が示す管理の連鎖、IPAのガイドラインが示す持ち出しの承認と記録。これらと同じ台帳に連番を載せ、未使用のシールを施錠保管し、点検で番号まで照合する。ここまで作って初めて、数十円のラベルが機器と媒体の状態を語る記録になります。

出典・参考

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