BitLocker回復キーとは何か、48桁の番号の探し方と回復画面が出る原因
対象の目安: WindowsのPCを使う個人と、端末を管理する情報システム担当者 / 入門


BitLocker回復キーは、WindowsのBitLockerで暗号化されたドライブを、いつもの方法(TPMによる自動のロック解除やPIN)で開けないときに入力する48桁の数字です。Microsoftの文書では正確には「回復パスワード」と呼ばれ、ドライブごと、保護の設定ごとに別の番号が作られます。起動時に青い画面で回復キーの入力を求められた場合は、この番号を別の端末で探して入力すれば、データを消さずに起動できます。
回復キーは、ドライブのすべてのデータを開けられる鍵そのものでもあります。この記事では、回復キーの仕組み、探し方とキーIDの照合、回復画面が出る原因、見つからないときの扱いを個人向けに整理したうえで、組織で回復キーを預かる場合の保管と閲覧権限の考え方までを扱います。記述は執筆時点(2026年10月14日)のMicrosoftの公式文書に基づきます。
BitLockerとデバイスの暗号化の関係
BitLockerは、Windowsのドライブ全体を暗号化する機能です。暗号化の鍵はPCのTPM(セキュリティチップ)に結び付けられ、起動環境が変わっていなければ利用者が意識しないまま自動でロックが解除されます。PCを盗まれてドライブを取り出されても、鍵がなければ中身を読めないことが目的です。
Windows Homeでも、「デバイスの暗号化」という形でBitLockerが働いていることがあります。Microsoftのサポート文書によると、デバイスの暗号化は対応するPCをMicrosoftアカウントや職場、学校のアカウントで初めてセットアップしたときに自動で有効になり、回復キーはそのアカウントにバックアップされます。ローカルアカウントで使い始めた場合は自動では有効になりません。自分で暗号化した覚えがないのに回復キーを求められるのは、多くがこの自動の暗号化によるものです。有効かどうかは、設定の「プライバシーとセキュリティ」にある「デバイスの暗号化」で確認できます。
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回復キーとほかの回復手段の違い
Microsoftの文書は、ロックされたドライブを開ける手段として次の4つを挙げています。一般の利用者が目にするのは、ほとんどが1つ目の回復パスワードです。
| 手段 | 中身 | 主な保存先 |
|---|---|---|
| 回復パスワード | 48桁の数字。回復画面で入力する | Microsoftアカウント、Entra ID、AD DS、テキストファイル、印刷物 |
| 回復キー(.bekファイル) | リムーバブルメディアに保存する暗号鍵のファイル | USBメモリ |
| キーパッケージ | 破損したドライブからデータを救い出すための情報。回復パスワードと組み合わせて使う | AD DS、ファイル(Entra IDには保存できない) |
| データ回復エージェント(DRA) | 組織の証明書で複数のドライブを開ける仕組み | 組織の証明書ストア |
一般には48桁の回復パスワードが「回復キー」と呼ばれており、この記事でも以下は回復パスワードを回復キーと書きます。
48桁は6桁ずつ8つのブロックに分かれています。Microsoftの文書によると、回復画面は各ブロックに含まれるチェック用の数字で入力ミスを検出するため、打ち間違えたブロックはその場で気づけます。
回復キーIDで使う番号を照合する
回復画面には、48桁の入力欄とあわせて「回復キーID」が表示されます。回復キーIDは、どの回復パスワードを使えばよいかを示す識別子です。1台のPCでも、暗号化をやり直したり保護の設定を変えたりすると回復パスワードが複数できるため、保存先に番号がいくつも並んでいることがあります。
Microsoftのサポート文書は、回復キーIDの先頭8桁を書き留め、保存先で同じIDを持つ番号を選ぶよう案内しています。IDが一致しない番号を入力しても開きません。
回復キーを探す場所
回復画面が出たら、その画面はそのままにして、スマートフォンや別のPCで次の場所を順に確かめます。
| 保存先 | 確かめ方 |
|---|---|
| 個人のMicrosoftアカウント | 別の端末でaka.ms/myrecoverykeyを開き、Microsoftアカウントでサインインして、IDが一致する番号を探す |
| 職場や学校のアカウント | 別の端末でaka.ms/aadrecoverykeyを開き、職場や学校のアカウントでサインインして、「デバイス」から対象のPCを選び「BitLockerキーの表示」を選ぶ |
| 印刷物 | BitLockerを有効にしたときに印刷した紙。回復キーIDと番号が載っている |
| USBメモリ | 保存したUSBメモリをロックされたPCに挿して画面の指示に従う。テキストファイルなら別の端末で開く |
| 組織のIT担当者 | 会社が管理するPCは、IT担当者がADやEntra IDから番号を取り出せる |
Microsoftアカウントに保存されている場合でも、セットアップのときに家族など別の人のアカウントでサインインしていれば、そちらに保存されています。サポート文書によると、Windows 11 24H2以降では回復画面に、関連するMicrosoftアカウントのヒントが表示されます。職場や学校のアカウントで「BitLockerキーの表示」が出ない場合は、組織が利用者自身による閲覧を制限していることがあるため、IT担当者に依頼します。
Microsoftのサポートが回復キーを出せない以上、電話やチャットで「回復キーを再発行する」「回復キーなしで解除する」と持ちかける相手には応じないでください。サポート詐欺は、こうした困りごとに付け込んで遠隔操作ソフトの導入や支払いを求めてきます。
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回復画面が出る主な原因
BitLockerは、起動のたびにファームウェアや起動の構成を測定し、前回と違えば攻撃の可能性があるとみなして回復を求めます。Microsoftの文書が挙げる代表的な原因を、身近な場面に分けて整理します。
| 場面 | 回復画面が出る例 |
|---|---|
| 入力の失敗 | 起動時のPINを何度も間違えた。サインインの失敗回数の上限を超えた(上限を設定している場合) |
| ファームウェアとTPM | BIOSやUEFIのファームウェアを更新した。TPMをオフ、無効化、クリアした。TPMの自己テストが失敗した |
| 起動の構成 | 起動順序を変えた。ブートマネージャーやパーティションを変更した。PXEブートを使った。CD、DVD、ISOからWindowsをアップグレードした |
| ハードウェア | ノートPCをドッキングステーションにつないだ、または外した。マザーボードを交換した。ドライブを別のPCへ移した |
ファームウェアの更新のように前もって分かっている変更は、BitLockerを一時停止(中断)してから行えば回復画面を避けられます。一時停止してもドライブは暗号化されたままで、保護を再開すると鍵が新しい環境に結び付け直されます。Microsoftの文書によると、回数を指定せずに一時停止した場合は、次の再起動で自動的に保護が再開されます。
一方、思い当たる変更がないのに回復画面が出た場合は、誰かがPCに物理的に触れて起動環境を変えた可能性も残ります。会社のPCであれば、自分で解除して終わらせず、IT担当者に経緯を伝えてください。Microsoftも、回復の原因を調べることを回復の手順の一部として勧めています。
起動できるうちに確かめておくこと
回復画面が出てから慌てないために、PCが普通に起動するうちに次を確かめておきます。
- 1
暗号化されているかを確かめる
設定の「プライバシーとセキュリティ」にある「デバイスの暗号化」、またはコントロールパネルの「BitLockerドライブ暗号化」で状態を確認します。管理者として開いたコマンドプロンプトで「manage-bde -status」を実行すると、ドライブごとの暗号化の状態と保護の種類が表示されます。
- 2
回復キーの保存先を確かめる
別の端末でaka.ms/myrecoverykey(個人)またはaka.ms/aadrecoverykey(職場や学校)を開き、このPCの回復キーが保存されているかを確認します。管理者のコマンドプロンプトで「manage-bde -protectors -get C:」を実行すると、Cドライブの保護の一覧に回復パスワードのIDと番号が表示されるので、保存先の番号とIDが一致するかを照らし合わせます。
- 3
保存先が見当たらなければバックアップする
コントロールパネルの「BitLockerドライブ暗号化」にある「回復キーのバックアップ」から、Microsoftアカウントへの保存、ファイルへの保存、印刷を選べます。ファイルに保存する場合、暗号化しているドライブそのものには保存できません。
- 4
PCとは別の場所に保管する
印刷物やUSBメモリは、PCと同じかばんに入れて持ち歩かないでください。Microsoftの文書も、回復キーとPCが同じ場所にあれば、PCを手にした人が中身にたどり着けると注意しています。紙は鍵のかかる場所に、ファイルはパスワードマネージャーなど保護された場所に置きます。
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組織で回復キーを預かるときの設計
会社のPCで回復キーを利用者任せにすると、紛失や退職の際に誰も開けないPCが残ります。Microsoftは、Entra IDに参加した端末はEntra IDへ、Active Directoryに参加した端末はAD DSへ、回復キーを自動でバックアップする構成を推奨しています。グループポリシーには、回復情報をAD DSに保存できるまでBitLockerを有効にしないという設定もあり、預け忘れを防げます。
誰が回復キーを読めるかを絞る
回復キーを集めて預かるということは、そこを読めればすべてのPCの中身に届くということです。
| 保存先 | 既定で読める人と、絞り方 |
|---|---|
| AD DS | コンピューターオブジェクトの下のms-FVE-RecoveryInformationに保存され、既定で読めるのはDomain Adminsだけ。ヘルプデスクなどへは読み取り権限を委任する |
| Microsoft Entra ID | 既定では利用者が自分の端末の回復キーを読める。テナントの設定で利用者による閲覧を制限できる。管理者側はクラウドデバイス管理者やヘルプデスク管理者のロール、またはbitlockerKeys/key/readの権限を持つカスタムロールで委任し、管理単位で範囲を絞れる |
ADへの委任は、一度設定すると見直されないまま残りがちです。VPN機器やアプリケーションが使うサービスアカウントに、回復キーを読める権限が付いていないかを定期的に棚卸ししてください。2026年10月には、Ivanti Connect Secureのゼロデイで侵入した攻撃者が、機器に保存されたドメインの資格情報を盗み、ADからBitLockerの回復キーとLAPSのパスワードを探していたとVolexityが報告しています。回復キーの保管庫は、攻撃者にとっても狙う価値のある場所です。
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ヘルプデスクで回復キーを渡す手順
利用者から回復キーを求められたときに、電話の声だけで番号を読み上げると、なりすましに番号を渡すことになりかねません。Microsoftの文書は、ヘルプデスクの手順として次の流れを示しています。
- 依頼してきた人がそのPCの正当な利用者かを確認する
- PC名と、回復画面に表示された回復キーIDを記録する
- ADやEntra IDで、IDが一致する回復パスワードを探す
- 番号を渡す前に、回復が必要になった理由を聞き取る
- 使った回復パスワードをローテーションする
使った回復キーはローテーションする
一度入力した回復キーは、画面を見られたり、メモが残ったりして他人に知られている可能性があります。Microsoftの文書によると、Entra IDに参加した端末とハイブリッド参加の端末では、自動ローテーションを有効にしておけば、回復パスワードでロックを解除した後に端末が新しい回復パスワードを作り、Entra IDに保存します。IntuneやConfiguration Managerから、個別の端末のローテーションを指示することもできます。ADのみの環境では古い回復パスワードの履歴がコンピューターオブジェクトの下に残り続けるため、使った番号の扱いを運用で決めておきます。
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BitLocker回復キーの確認と管理のチェック
- 自分のPCが暗号化されているかを、デバイスの暗号化またはBitLockerの画面で確認した
- 回復キーがMicrosoftアカウントや職場のアカウントに保存されていることを、IDの照合まで含めて確認した
- 印刷物やUSBメモリに保存した回復キーを、PCとは別の場所に保管した
- ファームウェアの更新前にBitLockerを一時停止する手順を、更新の作業手順に入れた
- 組織の端末は、回復キーをADまたはEntra IDへ自動でバックアップする設定にした
- ADで回復情報を読める権限が委任されたアカウントを棚卸しし、不要な委任を外した
- Entra IDで利用者による回復キーの閲覧を許すかどうかを決め、管理者側のロールを必要な範囲に絞った
- ヘルプデスクが回復キーを渡す前に本人確認と原因の聞き取りを行う手順を決めた
- 回復キーを使った後に回復パスワードをローテーションする設定または運用を決めた
まとめ
BitLocker回復キーは、暗号化されたドライブをいつもの方法で開けないときのための48桁の番号です。回復画面が出たら、回復キーIDの先頭8桁を控えて、Microsoftアカウント、職場や学校のアカウント、印刷物、USBメモリ、IT担当者の順に探します。Microsoftのサポートでも失われた回復キーは取り出せないため、起動できるうちに保存先を確かめ、PCとは別の場所に保管しておくことが一番の備えです。組織では、回復キーを自動で預けたうえで、読める人を絞り、使った番号はローテーションしてください。
この記事は2026年10月14日時点のMicrosoftの公式文書に基づいています。画面の名称や設定項目はWindowsの版や更新で変わることがあるため、操作の前にMicrosoftのサポート文書で最新の手順を確認してください。
出典・参考
- Microsoft サポート: BitLocker 回復キーを見つける
- Microsoft サポート: Windows のデバイスの暗号化
- Microsoft Learn: BitLocker の概要
- Microsoft Learn: BitLocker 回復の概要
- Microsoft Learn: BitLocker 回復プロセス
- Microsoft Learn: BitLocker 操作ガイド
- Microsoft Learn: BitLocker ポリシー設定の構成
- Microsoft Learn: manage-bde protectors
- Microsoft Learn: ms-FVE-RecoveryPassword 属性
- Microsoft Learn: bitlockerRecoveryKey リソースの種類 (Microsoft Graph)
- Microsoft Learn: Microsoft Entra ID のユーザーの既定のアクセス許可
- Microsoft Learn: Microsoft Entra 管理センターでデバイス ID を管理する
- Microsoft Learn: Intune でデバイスを暗号化する
- Volexity: A Series of Unauthenticated Events: Chained Exploitation of Ivanti Connect Secure Zero-Days (2026年10月13日)
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