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UPS(無停電電源装置)の選び方

対象の目安: NASやPCを使う個人から小規模事業者まで / 入門

アオイ防御・運用担当
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UPS(無停電電源装置)の選び方

NASやデスクトップパソコンを使っていると、停電や瞬間的な電圧の落ち込みが気になります。突然の電源断でファイルが壊れた、ストレージがおかしくなったという話は珍しくありません。UPS(無停電電源装置)は、停電や電圧変動が起きたときにバッテリーで一時的に給電し、機器を安全に止めるまでの時間を稼ぐ装置です。この記事は、停電でデータが壊れる仕組みから始めて、給電方式の違い、容量(VAとW)とバックアップ時間の見方、出力波形と自動シャットダウン連携、バッテリーの寿命と設置の注意までを順に整理します。なお本記事はアフィリエイトリンクを含みます。紹介する製品の効果や適合性を保証するものではなく、購入判断はご自身の利用環境に照らしてお願いします。詳細は広告・アフィリエイトについてをご覧ください。

停電でデータが壊れる仕組みとUPSの役割

停電がデータを壊すのは、機器が処理の途中で電源を失うからです。NASやパソコンは、ファイルの保存やデータベースの更新を、いくつかの手順に分けて順に書き込んでいます。その途中で電源が切れると、書き込みが中途半端な状態で止まり、ファイルの一部だけが新しく残ったり、まだ保存しきれていないキャッシュの内容が失われたり、ストレージの管理情報とデータの実体が食い違ったりします。多くの被害は、こうした書き込みの未完了やファイルシステムの不整合として現れます。

電圧の変動も同じ理由で問題になります。完全な停電に至らなくても、電圧が一瞬落ち込んだり大きく揺れたりすると、機器が誤動作したり保護回路で停止したりします。利用者からは「急に電源が落ちた」「再起動を繰り返す」といった形で現れ、結果として書き込み中のデータが巻き添えになります。

UPSが果たす役割は、この急な電源断を緩衝することにあります。商用電源が止まったり乱れたりした瞬間に、UPSが内蔵バッテリーから給電を引き継ぎ、機器の動作を一定時間つなぎます。この数分があれば、利用者やソフトが機器を正規の手順でシャットダウンでき、書き込み途中で電源を失う事態を避けられます。オムロンは、UPS選定で必要な情報を「接続する機器の最大消費電力」と「希望するバックアップ時間」の二つとし、パソコンでは5分から10分程度、サーバでは10分から15分程度の供給時間を勧めています。守りたいのは長時間の電力供給ではなく、安全に止めるための時間だという点が出発点になります。

三つの給電方式の違いと選び分け

UPSには大きく三つの給電方式があり、商用電源からバッテリー運転へ切り替わるときの挙動と価格が異なります。守りたい機器がどこまで電源の乱れに敏感かで選び分けます。

一つ目は常時商用給電方式です。通常は商用電源をそのまま機器へ流し、停電時にバッテリー運転へ切り替えます。構造が単純で内部の消費電力が小さく、小型で安価な製品が多い方式です。一方でオムロンは、この方式は電源異常が起きてからバッテリー給電に切り替わるまで瞬断が起こると説明しており、出力波形には正弦波と矩形波の二種類があります。停電の瞬間にごく短い無給電の時間が生じる点を理解したうえで選びます。

二つ目はラインインタラクティブ方式です。通常時は商用電源から給電しつつ、電圧変動を一定の範囲で自動補正するAVR(自動電圧調整)機能を備え、軽い変動ではバッテリーに頼らず電圧を整えます。停電など大きな乱れではバッテリー運転へ切り替わります。常時商用給電方式より安定した電圧で供給できます。出力波形は製品によって異なり、正弦波の製品も矩形波の製品もあるため、波形は方式とは別に確認します。価格と安定性のバランスがとりやすく、電圧の揺れが気になる環境のNASやパソコンに向いた選択肢になります。

三つ目は常時インバータ給電方式(オンライン方式)です。商用電源をいったん直流に変換し、インバータを通して常に作り直した交流を機器へ供給します。シュナイダーエレクトリックやオムロンの解説によると、給電経路が常にインバータを通るため切り替え時の瞬断がなく、入力側の電圧変動やノイズの影響を受けにくい安定した正弦波を出し続けます(取り除けるサージやノイズの量には製品ごとの上限があります)。その分だけ構造が大きく高価で、常時一定の電力ロスも伴います。停止が許されないサーバなど、電源品質を最優先する用途に適します。家庭やNASの停電対策では、常時商用給電方式かラインインタラクティブ方式から、機器の繊細さと予算に合わせて選ぶのが現実的です。

給電方式ごとの瞬断の有無と出力波形は、オムロンの給電方式解説に基づきます。常時商用給電方式は切り替え時に瞬断が起こり波形は正弦波と矩形波の二種類、ラインインタラクティブ方式と常時インバータ給電方式は波形が正弦波で、常時インバータ給電方式は切り替え時の瞬断がないと説明されています。常時インバータ給電方式が瞬断のない安定供給に向く点は、シュナイダーエレクトリックの運転方式の解説とも一致します。

容量(VAとW)とバックアップ時間の選び方

容量選びでつまずきやすいのが、VAとWという二つの単位です。VAは皮相電力、Wは有効電力を表し、機器の力率(電力の使われ方の効率)によって両者の比率が変わります。UPSのカタログにはVAとWの両方が記載されており、接続する機器の合計がそのどちらも下回るように選ぶ必要があります。片方だけを見て足りていても、もう片方で容量を超えていれば、停電時にUPSが給電を維持できないことがあります。

選び方の手順は、まず接続する機器の消費電力を洗い出すところから始めます。機器の仕様にWだけが書かれていてVAが分からない場合は、力率で割ってVAに換算してから合計します。力率が不明なときは安全側に見積もり、VA換算では小さめの力率を、W側ではそのままの値を使うと過小評価を避けられます。合計値に対しては、ぴったりではなく余裕を持たせた容量のUPSを選びます。起動時に瞬間的に大きな電力(突入電流)を要する機器もあり、定常の消費電力だけで選ぶと、起動の瞬間にUPSの容量を超えて過負荷で出力が止まったり、バックアップ時間が見込みより短くなったりするためです。定常のWやVAに加えて、最大消費電力や突入電力と、UPS側の過負荷の許容仕様もあわせて確認します。

バックアップ時間は、長く粘らせるためではなく、安全に止めるための時間として考えます。前述のとおりオムロンはパソコンで5分から10分程度、サーバで10分から15分程度を目安として挙げています。停電時にやることは、書き込みを終えて機器を正規の手順でシャットダウンすることだけなので、必要な時間はそのシャットダウンが完了するまでで足ります。長時間の連続運転を求めると容量も価格も跳ね上がるため、自分の機器が安全に止まるまでの時間を基準に選ぶのが過不足のない判断になります。

出力波形と自動シャットダウン連携

出力波形は、近年のPCやサーバ、NASでは正弦波を選ぶのが互換性の上で安全側です。これらの機器はPFC(力率改善)回路を備えた電源を積んでいることが多く、正弦波を前提に設計されています。多くのパソコンは矩形波出力でも動きますが、PFC電源との相性は電源の設計やUPSの波形と切り替え時間によって変わり、組み合わせによっては動作が不安定になることがあります。接続機器のメーカーが正弦波を求めている場合もあるため、守りたい機器の仕様と、UPSメーカーが示す対応表を確認したうえで選びます。常時商用給電方式の安価な製品には矩形波出力のものもあるため、迷う場合は正弦波出力と明記された製品が無難です。

自動シャットダウン連携は、長時間の停電や無人時にもUPSを停電対策として働かせるための要になります。短時間の停電ならUPS単体でも給電を引き継いで電源断を避けられますが、UPSを置いただけでは、無人のときに停電が長引いてバッテリーが尽きれば、結局は機器が急に落ちてしまいます。UPSと機器をUSBケーブルやネットワークでつなぎ、専用ソフトや機器側の機能と連携させておくと、停電を検知したUPSが機器へ通知し、機器がバッテリーの尽きる前に自動で安全にシャットダウンします。

NASでは、この連携が標準で用意されている製品があります。SynologyのNASは、USB接続またはネットワーク経由でUPSと連携し、停電時に書き込みを止めてセーフモードへ移行する設定を備えています。利用者は、停電を検知してからセーフモードに入るまでの待ち時間をあらかじめ決めておくと、その後にNASが書き込みを止めて安全な状態へ移るため、不在時の停電にも対応できます。購入前に、自分のNASやパソコンが対応するUPSのメーカーや接続方式と、検討中のUPSが合うかを確認しておくと安心です。

自動シャットダウン連携を設定する流れ

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    UPSと機器の対応関係を確認します。NASやOSが対応するUPSのメーカーや接続方式(USBやSNMP)に、検討中のUPSが含まれるかを調べます

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    UPSと機器をUSBケーブルまたはネットワークで接続します

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    機器側の設定で連携を有効にし、停電検知からシャットダウン開始までの待ち時間を決めます

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    実際にUPSの入力電源を抜くなどして停電を模擬し、機器が想定どおり安全にシャットダウンするかを確認します

バッテリーの寿命と設置の注意

UPSのバッテリーは消耗品で、いつか必ず交換が必要になります。オムロンは、バッテリーの期待寿命を製品の型式や周囲温度に応じておおむね数年から十年程度の範囲で示しており、これは標準的な使用条件での目安であって保証値ではないと明記しています。実際の寿命は、製品の型式や電池の種類、保管や使用の環境、とくに周囲の温度によって変わります。寿命の尽きたバッテリーを使い続けると、液漏れや内部短絡によって発煙や発火のおそれがあるとも警告されているため、交換のサインが出たら放置せず対応します。多くのUPSは定期的にバッテリーの状態を診断し、劣化を表示する機能を備えています。

設置で気をつけたいのは、周囲の温度です。バッテリーは高温の環境ほど寿命が縮むため、熱がこもる密閉した場所や暖房の近くを避け、風通しのよい場所に置きます。長期間使わずに保管する場合は、製品の取扱説明書が示す方法に従って充電しておくと、内部の劣化を抑えられます(保管時の充電の頻度は製品や電池の種類によって異なります)。設置直後だけでなく、数年単位で交換が発生する装置だという前提で、置き場所と点検のしやすさを考えておくと運用が楽になります。

なお、UPSは出力につなぐ機器にも制約があります。オムロンは、変圧器やモーターのような誘導性の機器を出力に直結すると過電流で故障するおそれがあるとして注意を促しています。守りたいのはあくまでNASやパソコンといった情報機器であり、何でもつないでよい電源タップではない点を押さえておきます。

用途別の選び方とUPSにできないこと

ここまでの内容を、用途別に整理します。家庭でNASやデスクトップパソコンを停電から守りたい場合は、正弦波出力で、機器と自動シャットダウン連携ができる小容量のUPSが基本の選択肢になります。給電方式は、価格を抑えたいなら常時商用給電方式、電圧の揺れも補正したいならラインインタラクティブ方式を選びます。小規模事業者で停止が許されない機器がある場合は、瞬断のない常時インバータ給電方式を検討する価値があります。いずれの場合も、容量はVAとWの両方で機器の合計を上回るものを、余裕を持たせて選びます。

正弦波出力の小容量UPS(NASやパソコン向け)

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正弦波出力の小容量UPS(NASやパソコン向け)

PFC電源を積んだ近年のNASやパソコンに合わせやすい、正弦波出力の小容量UPSのカテゴリです。守りたい機器の消費電力を合計し、VAとWの両方で上回る容量を、余裕を持たせて選んでください。出力波形が正弦波と明記されているか、接続予定の機器が対応するメーカーや接続方式かを製品ページで確認することをおすすめします。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

ラインインタラクティブ方式のUPS

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ラインインタラクティブ方式のUPS

電圧変動をAVR機能で補正しつつ、停電時にバッテリー運転へ切り替えるラインインタラクティブ方式のカテゴリです。常時商用給電方式より安定した電圧で供給でき、価格と安定性のバランスがとりやすい方式です。電圧の揺れが気になる環境のNASやパソコンに向きます。出力波形や容量(VAとW)を確認したうえで選んでください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

自動シャットダウン連携対応のUPS

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USBやネットワークで機器と連携し、停電時に自動で安全なシャットダウンを行えるUPSのカテゴリです。長時間の停電や無人時に備えるには、この連携が要になります。お使いのNASやOSが対応するUPSのメーカーや接続方式に含まれるかを、購入前に確認することをおすすめします。連携用のソフトや機能の対応状況も製品情報で確かめてください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

最後に、UPSにできないことを率直に書いておきます。UPSは停電や瞬低、電圧変動といった電源側の障害を緩和する装置であり、対応できる範囲は方式や製品によって変わります。サイバー攻撃やランサムウェアを防ぐ装置ではありませんし、操作ミスやソフトの不具合によるファイルの論理的な破損、ストレージ自体の故障を止めるものでもありません。UPSが扱うのは、あくまで電源の乱れという領域に限られます。データを本当に守るには、UPSで安全な停止を確保したうえで、別の媒体や場所への定期的なバックアップを併せて持つことが前提になります。停電対策と障害対策は別物だと整理しておくと、必要な備えに過不足が出にくくなります。

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UPS選びの確認リスト

  • 守りたい機器の消費電力を合計し、VAとWの両方で上回る容量を余裕を持たせて選んだ
  • 近年のPCやサーバ、NAS(PFC電源)向けに、出力波形が正弦波の製品を選んだ
  • 給電方式(常時商用給電、ラインインタラクティブ、常時インバータ)を機器の繊細さと予算で選び分けた
  • USBやネットワークで自動シャットダウン連携ができ、機器側が対応する接続方式かを確認した
  • バッテリーが消耗品であることを理解し、風通しのよい場所への設置と交換の見込みを考えた
  • UPSは停電対策であり、別媒体への定期的なバックアップと併用する前提で導入した

出典・参考

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